(イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州 ラグレイン100%)
イタリアで最も北に位置するトレンティーノ・アルト・アディジェ州は、オーストリアとスイスと国境を接し、北のアルト・アディジェ地方と南のトレンティーノ地方に分けられます。
イタリアを代表する白ワインの産地としてアルト・アディジェ地方は有名ですが、イタリアの最北に位置するので当然と考えるのはちょっと拙速です。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州は、以前はオーストリア領でイタリアとなったのは第1次世界大戦後です。
ワインと言えば白であるオーストリアにとってこの地は最南端に位置するので、貴重な赤ワインの産地だったのです。
実際、アルト・アディジェ地方の赤ワインの生産量は今でも白ワインを上回り半分以上を占めます。
とはいえ、アルト・アディジェの土着黒ブドウのスキアーヴァやラグレイン、トレンティーノの同じく土着黒ブドウのテロルデゴから造られるワインは基本的には日常消費用です。
ラグレインは、元々はスキアーヴァの補助品種でしかなかったのですが、濃厚でパワフルなワインができるポテンシャルの高さから注目されるようになりました。
日本では、ラグレインをアパッシメント(ブドウを陰干しすることで、主にヴァルポリチェッラのアマローネを造る時に取り入れられている製法)して造った88年がファーストヴィンテージのヨーゼフ・マイヤーのラマレイン(当時は手に入れるのも困難で、現在でも1万円前後で取引されています)と言うワインが紹介されてから、イタリアンレストランでラグレインを使用したワインがリストに載るようになった気がします。
トレンティーノ・アルト・アディジェ州では、共同組合が造るワインが圧倒的に多い中、ケットマイヤーは1919年創業の家族経営のワイナリーです。