(フランス ブルゴーニュ地方 マルサネ村 ピノ・ノワール100%)
素晴らしい高級ワインの特徴は、と聞かれれば、私は複雑性と答えます。
こちらから探しにいかなくても、グラスを顔に近づける度に様々な香りを嗅ぎとれ、また口に含めばやはり様々な味わいを感じとることができるワインです。
一方、ブルゴーニュの村名クラスのワインで素晴らしい物の特徴はピュアさにあると思います。
まるでフレッシュなイチゴジュースを飲んでいるような、全く雑味の無い味わいを楽しめるワインです。
その代表的な例は、ロマネ・コンティのオーナーが造るドメーヌ・ド・ヴィレーヌのラ・ディゴワーヌだと思います。(第8回頒布会で、このドメーヌの白ワインのブーズロンを選ばせていただきました。)
現実は、そのようなワインに出会うのはなかなか難しいのですが、このマルサネは私がそのように思う数少ない物の一つです。
ブルゴーニュの銘醸地のコート・ドールの最北端に位置するマルサネ村は、特級の畑も、1級の畑もないため、マルサネはどちらかと言うとブルゴーニュの村名ワインの底辺を支えているワインです。
しかし、有名ドメーヌで醸造経験を積んだパトリック・マロワイエ氏のマルサネは別物と言ってよいのではないでしょうか。
残念ながら年間生産量は4樽1200本程度しかなく、その多くは近くの士官学校の卒業記念品として使われてしまい、残りも近隣のジュヴレ・シャンベルタン村の2軒のレストランに売られるため、ほとんど流通しない稀商品です。
2013年のブルゴーニュは雨が多くワインにとって大変厳しい気候だったせいか、開けたては酸が多少強く感じられますが、しばらくすると果実味、酸、タンニンのバランスが良くなってきます。