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ワインのトリヴィアル・パスートVol.5【 ワインの評価 】

【 ワインの評価 】

ワインには、多くの評価本が存在します。
主なところを挙げると、イギリスのデカンター、フランスのル・ギド・アシェット・デ・ヴァン、クラスモン・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス、イタリアのガンベロロッソ、ヴェロネッリ、スペインのギア・ペニン、アメリカのワイン・アドヴォケイト、ワインスペクテイター、インターナショナル・ワイン・セラー、オーストラリアのワイン・ヴィンテージ等々。
中でも、ワイン・アドヴォケイトのロバート・M・パーカーJR氏の影響力は年齢と共に多少薄れてきたとはいえ絶大です。

元々、ワインの評論はイギリスの独壇場でした。
ボルドーワインを育てたのもイギリスと言っても過言ではありません。
それゆえなのか、評論家と生産者が癒着までとは言えないのでしょうが、一定の評価を得たワインはヴィンテージに関わりなく常にいい評価が与えられ、高額で取引されるという状況が生まれていました。

それに風穴を開けたのがパーカー氏でした。
100点満点と言うわかりやすい指標と、ワイン市場のバックグランドがアメリカに移っていたことにより、瞬く間に絶大な影響力を持つようになりました。
今や、ワインの評価はパーカー氏が導入した100点法が主流となっています。
パーカー氏の場合は、基礎点が50点、色調が5点、香りに15点、味わいに20点、熟成の可能性に10点となっています。

この100点法は、様々な物議を醸していますが、工学部出身の私としても、再現性のない数字には根本的な疑問を感じますし(同じワインに常に同じ点数をつけられるという再現性を確保するには、プロのテースターでも10段階評価が限界ではないでしょうか)、点数配分において熟成の可能性に10点しか割かれてないのもどうかと思います。
日本におけるワインの第一人者である堀賢一さんも同様の指摘をされていますが、ワインの評価において、熟成の可能性は全体の半分くらいの割合を占めてもいいのではと思います。

イギリスのワイン評論家の重鎮であるマイケル・ブロードベント氏が書いた、パーカー以前のワイン評価本のバイブルであった、ザ・グレート・ヴィンテージ・ワインブックでは、各ワインを1から5までの星の数で評価し(例外的に6と言う場合もありますが)、試飲した時の星の数とピークに達した時に予想される星の数が書かれていました。
たとえば、★★(★★★)と言う表記は、今は2つ星だがピーク時には5つ星になるという意味です。
私には、大変しっくりくるワインの評価方法なのですが、アメリカ市場をはじめとして早飲みが好まれる現代、ワインのプロまでがワインの熟成に関して軽んじている気がします。