【 シャトー・ディケム 】
世界の3大貴腐ワインと言ったら、セミヨンとソーヴィニヨン・ブランから造られるフランスのボルドー地方のソーテルヌ・バルザック地区のワインと、リースリングを主要品種とするドイツのトロッケン・ベーレン・アウスレーゼ、そしてフルミントを主要品種とするハンガリーのトカイ・アスー・エッセンシアです。
その中のトップ・オブ・ザ・トップと言われるのがソーテルヌのシャトー・ディケムです。
シャトー・ディケムは1593年に創業され、1855年のパリ万博でメドックの赤ワインの格付けが行われた時に、甘口白ワインのソーテルヌの格付けも行われ、唯一プルミエ・クリュ・シューペリュール(特別1級)の称号を得ました。
長いこと、リュール・サリュース家が保有していましたが、1999年にルイ・ヴィトン・モエ・エ・ヘネシー・グループが筆頭株主になり、ボルドー8大シャトーの一つであるサンテミリオン地区のシャトー・シュヴァル・ブランの総責任者であるピエール・リュルトン氏が現在、社長兼CEOを務めています。
年間約10万本が生産され、ブレンド比率はセミヨン80パーセント、ソーヴィニヨン・ブラン20パーセントです。
ディケムがディケムたる所以は、経済的なことも度外視し、最良のワインしか生産しないという信念です。
1本のブドウの樹からグラス1杯のワインしか造らないと言われ、収穫は6週間から8週間に渡って150人の摘み手が完熟したブドウを一粒一粒摘みます。
天候によっては、全く生産しないヴィンテージも存在します。
シャトー・ディケムのホームページに各ヴィンテージのデータが載っていますが、1910、1915、1930、1951、1952、1964、1972、1974、1992、2012年は生産されていません。
全く生産しない経済的損失は多大なものですが、51年、52年と2年連続で生産しない年があったり、栽培技術等が発達した今世紀にも生産されなかったヴィンテージがあるというのは驚きです。
ヴィンテージによって価格は異なりますが、ネットでは5万円くらいから購入可能で、これは世の中の嗜好が辛口になり、甘口のワインが比較的人気が無いことによるもので、他の赤白の辛口ワインの値段と比較したらバーゲン価格としか言いようがありません。