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ワインのトリヴィアル・パスートVol.56【 ブルゴーニュ(赤ワイン)の畑 】

【 ブルゴーニュ(赤ワイン)の畑 】

ブルゴーニュワインのエチケットには、村名や畑名が記載されています。
同じ特級や1級の畑でも、評価や人気に差があります。
今回は、赤ワインの畑にフォーカスをしてみます。

ジュヴレ・シャンベルタン村には、9つの特級畑があります。
その筆頭がシャンベルタンで、並び称されるのがシャンベルタン・クロ・ド・ベースです。
両方を生産しているアルマン・ルソーのワインでは、クロ・ド・ベースの方が上ともよく言われます。
シャルム、マゾワイエール、シャペル、グリオット、ラトリシエール、マジ、リュショットは、どれがいいというのはなく、作り手によります。
クロード・デュガ、フーリエのグリオット・シャンベルタンはマニア垂涎なので、中ではグリオット・シャンベルタンのイメージが一番いいかもしれません。
1級畑では、ダントツでル・クロ・サン・ジャックで、しばしば特級の物より上の評価が下されます。

モレ・サン・ドニ村には5つの特級畑があります。
クロ・ド・ラ・ロッシュ、クロ・サン・ドニ、クロ・デ・ランブレ、クロ・ド・タール、ボンヌ・マールです。
クロ・デ・ランブレは、以前はドメーヌ・デ・ランブレのモノポールと言われていましたが、実際はドメーヌ・トプノ・メルムが畑を所有していて、1974年にブドウを植えたことから二人の生産者のワインが存在します。
生産量の99パーセント以上がランブレの物ですが。
クロ・ド・タールは、ドメーヌ・クロ・ド・タールのモノポールです。
最南端に位置するボンヌ・マールは、そのほとんどが南のシャンボール・ミュジニー村側にあるので、シャンボール・ミュジニーの特級畑として認識されています。
また、モン・リュイザンという1級畑は白ワインで有名で、それもコート・ドール地区では珍しくシャルドネの他にアリゴテも使用したワインが造られています。

ミュジニー村にはミュジニーとボンヌ・マールの二つの特級畑があります。
ボンヌ・マールは、先程叙述したようにモレ・サン・ドニ村にまたがっていて、モレ・サン・ドニのワインと同様にパワフルさが特徴であるのに対し、ミュジニーは繊細さが特徴です。
ミュジニーの畑の約7割をドメーヌ・コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエが所有するため、ほとんどの生産者は1000本にも満たない本数しか生産できません。
それに加えてミュジニーはブルゴーニュマニアからの人気が高いため、ルロワやルーミエのミュジニーなんかはとんでもない価格で取引されています。
また、ヴォギュエは白ワインも生産していて、コート・ド・ニュイ唯一の特級の白ワインです。
ブドウの樹の植え替えを行ったため、ブドウの樹が成長する以前の若木だった1994年から2014年まではブルゴーニュ・ブランとしてリリースしていましたが、2015年に待望のミュジニー・ブランとして復活しました。
1級の畑では、ダントツで評価が高いのはレ・ザムルーズです。
「日本語に訳すと、恋人たち、になるので、それも人気の秘密」のような紹介が以前からされていましたが、厳密にいうと女性の複数形なので「恋する乙女たち」というのが正解のようです。
ヴォギュエのプルミエクリュと書かれたワインは、特級の畑の若木のブドウからの格下げなので狙い目だとは思いますが、これも価格が高騰してしまっています。

ヴージョ村はクロ・ド・ヴージョという特級畑がありますが、1級畑がその4分の1の広さ、村名畑がさらにその半分以下の広さで、1級畑や村名のワインを探す方が大変なので、最も人気のない特級畑かもしれません。

ヴォーヌ・ロマネ村には、8つの特級畑があります。
ロマネ・コンティを筆頭に、ラ・ターシュ、ラ・ロマネ、ラ・グランド・リュと4つのモノポールがあり(ブルゴーニュではこの4つ以外は前述のクロ・ド・タールだけです)、リシュブール、ロマネ・サン・ヴィヴァン、グラン・エシャゾー、エシャゾーとブルゴーニュラヴァーにとっては憧れのワインばかりです。
1級畑では、あの神様アンリ・ジャイエが開墾したクロ・パラントゥーがロマネ・コンティを除けば他の特級ワインを差し置き1番高値で取引されています。
また、レ・ゴディショという畑は、その1部がラ・ターシュに組み込まれた歴史があり、密かに人気のワインです。
そのほかにも、オー・マルコンソールや、レ・ボー・モン、オー・ブリュレ、レ・スショと綺羅星のごとく素晴らしい畑が存在し、「神に愛される村」と呼ばれるにふさわしい産地となっています。

ニュイ・サン・ジョルジュ村には、特級畑はありませんが、将来特級畑に昇格すると噂されているレ・サン・ジョルジュが1級畑の筆頭です。
レ・ヴォークランも評価の高い畑です。

アロース・コルトン村のコルトンは、コート・ド・ボーヌ地区唯一の赤ワインの特級畑です。
コート・ド・ニュイ地区の赤ワインと比較して、コート・ド・ボーヌ地区の赤ワインは人気がありません。
コート・ド・ニュイの特級畑からしか赤ワインを造っていなかったロマネ・コンティ社が2009年からコルトンをリリースしたことにより、初めて超高額で取引されるコルトンが誕生しました。

今年の正月にメオ・カミュゼのヴォーヌ・ロマネ・オー・クロ・パラントゥー2001年を抜栓しました。
20年前に買った時は2万円程度でしたが、今や軽く40万越えで取引されているので、飲むのに相当勇気が必要になり、またブルゴーニュ全体が高騰しているので、そこまでマニアックでないワインさえも気軽に飲めなくなっているのは残念です。