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ワインのトリヴィアル・パスートVol.59【 イタリアンレストラン 】

【 イタリアンレストラン 】

レストランは、利益の面でうまくやっている業界とそうでない業界があります。
ラーメンは1杯1000円くらいが目安で、今やそれを超える店が普通になっています。
以前、経営の専門家から「ラーメンは素材をこだわっているとか色々言っていますが、利益率は高く、5店くらい経営しセントラルキッチンをつくればぼろ儲けです。」という話しを聞いていますし、ラーメンを含めいろいろな形態の店を経営している方からも、「地震やコロナなど、色々なマイナスな環境に陥った時、ラーメンがなければ倒産しています。」とも聞きました。
一方、牛丼のチェーン店は1杯400円前後の価格設定で原価率は40パーセントくらい、
回転ずしは原価率は50パーセントくらいと言われていて大規模でないと難しい商売のようで、果たして業界として成功しているのかと疑問を感じます。
また、ピザは日本が世界一高い価格設定の国として有名です。
日本では1枚2500円から3000円くらいしますが、他国では1000円から1500円くらいが平均で安い国では1枚500円です。
恵比寿にナポリが本店のアンティーカ・ピッツェリア・ダ・ミケーレという有名なピザ店がありますが、そこのマルゲリータは日本では2380円で、本国では5ユーロです。
日本で、ピザが流行したのはデリバリーピザからと言われ、日本のピザ代金にはデリバリー料金も含まれているため高い値段設定になっているのですが、デリバリーをしない店も消費者がピザ1枚は2500円くらいという感覚に乗じて価格設定をしているため、日本はピザが異常に高い国になってしまっていました。
実際チェーン店では、持ち帰ると半額というキャンペーンを1年中やっているのではないでしょうか。
イタリアンレストランも、フレンチレストランと比べうまくやっている業界と言われていました。
フレンチレストランの原価率が30パーセントと言われているのに対し、イタリアンレストランは20パーセントを切っているのが普通です。
イタリアンは、小麦粉から作るパスタと炭で焼いただけのメインに対し、フレンチはソースから仕込まなければならず手間も雲泥の差なので、以前イタリアンの川越シェフが「イタリアンの方が楽で儲かるから」的な発言をしてイタリアンの業界から総スカンを食らった話も有名です。
自ずと、私はある時期からよっぽど手打ちパスタにこだわりがあるとかという場合を除いてイタリアンレストランには足を踏みいれなくなりました。
フレンチも、重たい料理から軽い料理の流れに乗じて、手間暇をかけない店がどんどんと主流になっているという残念な現状ですが。
今世紀に入り、料理業界の主役が、世界を長年引っ張ってきたフランスから、スペイン、北欧、南米と移っていくにつれ、だんだんと料理に垣根がなくなってきました。
そして最近では、日本のイタリアンでもパスタがあるだけで(それすら手間がかかっていますが)、色々と手間暇をかけた皿が出てくるのが普通になりました。
今や、新しい店はフレンチよりも面白い店が多いくらいです。
私のお気に入りは、グッチ・オステリア、ブルガリ・イル・レストランテ、アルマーニ・レストランテ、ファロ等です。
たまたま、どれも銀座に店舗がありますね。
ワインのトリヴィアル・パスートなので最後にそれぞれのワインリストについて少し触れます。
グッチは日本ワインが充実しているので私にとってはうれしいワインリスト、ブルガリは値付けは高いのですがソムリエがコレクションしたミアーニの種類が豊富でミアーニだけはリーズナブルな値付け、アルマーニは残念ながら値付けが高くあまりワインリストは魅力的ではないのですが料理の値付けがとてもリーズナブル、ファロは4軒の中では一番良心的な値付けのワインリストです。