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ワインのトリヴィアル・パスートVol.61【 バローロ 】

【 バローロ 】

イタリアワインを追い求めていくと、サンジョベーゼもいいし、スーパートスカーナもいいし、地場品種のモンテプルチアーノやアリアニコもいいと思いますが、結局は「王のワイン」と呼ばれるバローロに戻ってくるように思います。(個人的感想です。)
ネッビオーロ自体は13世紀頃の文献に登場するようですが、長期熟成が必要な近年のスタイルのバローロが誕生したのは19世紀半ばのことでまずは宮廷で名声を高めました。
19世紀末には一般にも流通するようになりますが20世紀に入ってからは不遇な時代が続きます。
1966年にDOCを獲得し、そして1980年にDOCGに昇格したころに、人気のないバローロの復活を試みるべく登場してきたのが、後にバローロ・ボーイズと呼ばれる新しい技術をバローロ造りに導入した近代派と呼ばれる生産者たちです。
一方、昔ながらバローロ造りをしているのが伝統派です。
単純にいうと、大樽で長期間マセラシオン(発酵過程で果皮や種子を果汁につけ込んでおくこと)するのが伝統的な造りで、小樽で新しい技術を使い短期でマセラシオンをするのが近代派のやり方です。
2000年くらいまでは、伝統派と近代派の対立が話題になりましたが、今世紀に入ってからはそれぞれのスタイルで道を歩むようになったと言われています。

伝統派
ジャコモ・コンテルノ 
私がイタリアワインの中で最も好きな生産者。良年にだけ作るモンフォルティーノは、熟成ということに関してボルドーのグランヴァンと対抗できる唯一のイタリアワインだと思います。(個人的感想です。)

バルトロ・マスカレッロ 
ワイナリーの名前にもなっている前当主が描く手書きのエチケットがマニアの垂涎の1本です。この手のものが大好きな私は、もう何十年も手書きのエチケットのワインを追い求めていますが、いつももう一歩のところで届かずです。

ブルーノ・ジャコーザ 
上記2名に加え、伝統派の3大巨匠と呼ばれる一人です。
通常は白をベースにしたシンプルなエチケットですが、良年にのみ作られるレ・ロッケ・リゼルヴァはエチケッタ・ロッサと呼ばれる赤いエチケットです。

近代派
ルチアーノ・サンドローネ
1976年にカンヌビ・ボスキスの畑を購入し、1978年にワイナリーを設立。1982年にバローロ・ボーイズをまとめた貿易商のマルク・デ・グラツィア氏によりアメリカに進出。
カンヌビ・ボスキスの90年のヴインテージにパーカーが100点を与えブレイク。

エリオ・アルターレ
エリオ・アルターレが成し遂げたのは、バローロのモダン化ではなく廃れていたランゲの復興と言われています。
私が、エリオ・アルターレを知った当時は、バローロの畑から造られているワインもバローロを名乗っておらず、ヴィーニャ・アルボリーナ等を探し求めました。
今でも、同じ畑からバローロとランゲを使い分けてリリースしています。

パオロ・スカヴィーノ
1978年にブリッコ・デル・フィアスクの単一畑でバローロを瓶詰。
このブリッコ・デル・フィアスクとロッケ・デッランヌンツィアータはマニアが一度は飲みたいバローロです。

ドメニク・クレリコ
1977年創業1979年ファーストヴィンテージ。近代派の象徴であるロータリー・ファンメーター(果樹と果皮を攪拌しながらエグミを出す種を発酵に影響させないようにするタンク)をいち早く導入。トップキュヴェはペルクリスティーナ。

ロベルト・ヴォエルツィオ
一度見たら忘れられないかわいいイラストのエチケット。
近代派を代表する一人ですが、「栽培は超低収量で革新的だが醸造は伝統的」と自らは主張しています。近代派のほとんどの生産者は、近代派と括られることに抵抗を感じているようです。

その他、アルマンド・パルッソやシルビオ・グラッソ等のスター生産者が近代派には多く存在します。

中間派(新古典派)
アルド・コンテルノ
中間派といえばアルド・コンテルノです。
ジャコモ・コンテルノの4代目の次男に生まれ、兄との確執から1969年に独立。
トップキュヴェのグラン・ブッシアはバローロを代表する1本です。