【 カベルネ・ソーヴィニヨン比率 】
ボルドーの格付けワインというと、一般的には1855年のパリ万博の際に発表された1級から5級までのワインを指します。
当時は、サンテミリオンやポムロールのある右岸地区はまだ無名で、左岸のメドック地区の格付けです。
唯一、評判がすごく高かったオー・ブリオンがグラーブ地区から1級として選出されました。
主な村として、北からサン・テステフ、ポーヤック、サン・ジュリアン、マルゴーがあります。
それぞれの地区によって土壌が違うことから味わいの特徴というのがあったのですが、現在は技術が進歩したことにより、生産者の意志がワインの味わいに反映されるようになりました。
有名な例でいうと、マルゴー村の1級シャトーのシャトー・マルゴーは、力強くはあるがエレガントさが売りだったのですが、近年は主要マーケットのアメリカ人の嗜好にあわせ、果実味抽出型の濃度の高いワインを生産していると言われています。
というわけで現在は、実際に飲み込んでみないと自分の好みのワインがどれかはわからないのですが、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率はその助けにはなるかと思います。
実際は、各シャトーはブドウの出来によって比率を変えています。
これも有名な例でいうと1984年のムートン・ロートシルトはカベルネ・ソーヴィニヨン100パーセントで造られています。
したがって下記は、標準的な比率になります。
品種名略称
カベルネ・ソーヴィニヨンCS メルロMR カベルネ・フランCF プティ・ヴェルドPV
マルベックMB
サン・テステフ村
コス・デストゥルネル(2級)CS60 MR40
一時期不調な時代があったと言われていますが80年代以降はサン・テステフ村の中でモンローズとツートップを築いていて、現在は通常モンローズより高い価格で流通しています。
近年、カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が上がっていて、80パーセントを超える年もあるようです。
モンローズ(2級)CS65 MR25 CF10
濃密で強固なワインとして有名でしたが、70年の中ごろから80年の中ごろにかけてメルロの比率を多くして少し軽やかな方に舵を切ったのですが、評判が悪く元のスタイルの戻したと言われています。
カロン・セギュール(3級)CS45 MR40 CF15
18世紀にセギュール侯爵が「われラフィットやラトゥールをつくりしが、わが心カロンにあり」と言ったとされる話が有名で、現在も昔ながらのスタイルで造られていると言われているので、古き良きボルドー好きにはお勧めです。
ポーヤック村
ラフィット・ロートシルト(1級)CS70 MR25 PB3 CF2
格付けでは1級の中でも1番に位置付けられました。
以前は素晴らしいけれども難しいワインと言われ、その良さを飲み手が一生懸命探りにいかないとわからないと言われていました。
ラトゥール(1級)CS80 MR15 CF・PV5
男性的で頑強なワインと言われ、味わいが安定していて外れがないと言われていて、コンテストがあったら総合優勝するであろうワインです。
ワインラヴァーの多くに、成金がしょっちゅう飲んでいるワインというイメージを持たれています。
ムートン・ロートシルト(1級)CS80 CF10 MR8 PB2
唯一、格付けが変更になったワインで1973年に2級から1級に昇格しました。
良いヴィンテージでも時々平凡なワインを造る変わりに、爆発的にすごいワインを造ると言われています。
今まで作られたすべてのワインの中で最高の1本を選ぶとしたら、1945年のムートンは真っ先に候補として挙がってくるでしょう。
ピション・ロングヴィル・バロン CS70 MR25 CF5
1850年に相続の関係で、ピション・ロングヴィルが2つに分けられたうちの片方です。
一時期不調な時代がありましたが、80年代中ごろから復調したようです。
ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド CS45 MR35 CF12 PV8
1850年に分割された片方で、ポーヤック村の中ではメルロの比率が高く、しなやかで若いうちから飲めるワインの代表格です。
ポンテ・カネ(5級)CS63 MR32 CF5
左岸では珍しくミッシェル・ロランがコンサルタントで、近年では1級シャトーをも凌駕する評価を得る年があります。
世紀のヴィンテージである2009年、2010年で、パーカーポイントを両年とも100点を獲得したのは、左岸ではラトゥール、オー・ブリオン、ポンテ・カネの3本だけです。
グラン・ピュイ・ラコスト(5級) CS70 MR25 CF5
大柄で長熟なワインが造られると言われています。
カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いと、やはり屈強なワインとなるようです。
ランシュ・バージュ(5級) CS73 MR15 CF10 PV2
以前から品質は2級に匹敵すると言われ、よくムートン・ロートシルトの弟分のように言われています。
アメリカ人に人気があり、流通価格は高めです。
サン・ジュリアン村
レオヴィル・ラス・カーズ(2級) CS65 MR19 CF13 PV3
ラトゥールに隣接するラス・カーズは、凝縮してスケールが大きく、サン・ジュリアン村というよりはポーヤック村の特徴を持っています。
以前から品質管理に重きが置かれ、第二次世界大戦以降一貫して秀逸なワインを造り続けていると言われています。
レオヴィル・ポワフェレ(2級) CS52 MR28 CF12 PV8
1840年にレオヴィル・ラス・カーズの3分の1が切り離され現代のレオヴィル・ポワフェレになりました。
コンサルタントにミッシェル・ロランを迎えてから、サン・ジュリアンの中で1、2を争うワインとなりました。
レオヴィル・バルトン(2級) CS72 MR20 CF8
1826年にバルトン氏が、レオヴィルの畑の4分の1を購入して誕生しました。
格付け以降、オーナーが変わっていない数少ないシャトーのうちの一つで、シャトーを敷地内に持ってないことでも有名です。
レオヴィル3兄弟の中では、最もリーズナブルな価格で取引されています。
デュクリュ・ボーカイユ (2級)CS65 Mr25 CF5 PV5
エレガントさが特徴のデュクリュ・ボーカイユは、最もサン・ジュリアンらしいワインでしょう。
2級シャトーの中でラス・カーズと共に流通価格が高いワインです。
グリュオ・ラローズ(2級) CS57 MR30 CF7 PV4 MB2
以前は強固なワイン造りだったが、近年はエレガントな造りと変化してきていると言われています。
流通価格がリーズナブルなので狙い目かもしれません。
マルゴー村
マルゴー(1級) CS75 MR20 PV・CF5
1955年の格付けでラフィットに続き2位に選ばれたワインです。
一時期不調な時期がありましたが、1978年から完全復活しました。
マルゴー村の中ではカベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高く壮大なワインですが、またエレガントな要素も併せ持ったワインでした。
アメリカ人の嗜好に合わせ、果実味抽出型の濃厚なワインに徐々に変化していったので、古き良きボルドーの愛飲家からは「マルゴーよ、おまえもか」と言われていました。
パルメ(3級) CS55 MR40 PV3 その他2
マルゴー村には、2級のワインが5つありますが、それらを押しのけシャトー・マルゴーの次に位置するワインです。
メルロ比率が高いので、しなやかさが特徴で、どちらかというと右岸のポムロールのようなワインと言われています。
グラーブ地区
オー・ブリオン(1級)CS45 MR37 CF18
1855年当時、唯一メドック地区以外から選出されたワインです。
メルロの比率が高いため上品さが特徴で、メドック地区のワインとも右岸とも違う唯一無二の味わいとされています。
また、早くから熟成しピークが長いワインとしても有名です。