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ワインのトリヴィアル・パスートVol.64【 スーパートスカーナの品種 】

【 スーパートスカーナの品種 】

キャンティ・クラシコ地区の生産者による1970年代から始まった「イタリアワインのルネッサンス」と呼ばれるイタリアワインの近代化により生まれてきたワインは、スーパートスカーナと呼ばれ一世を風靡しました。
ここ2回のトリヴィアでは、品種に注目してきましたので、今回はスーパートスカーナと呼ばれる代表的なワインの品種に注目していきます。
セパージュ比率は、年によって変わりますので、下記は標準的な比率です。

カベルネ・ソーヴィニヨンCS メルロMR カベルネ・フランCF プティ・ヴェルドPV
マルベックMB サンジョベーゼ SG

〇まずは3大ボルゲリと言われるワイン

サッシカイア CS85 CF15
1968年がファーストヴィンテージ。
スーパートスカーナはサッシカイアから始まったといっても過言でありません。
今や、インポーター希望小売価格は38500円になってしまいましたが、30年ほど前に友人宅で、85年から89年ヴィンテージを垂直しました。
いい時代でした。

オルネッライア CS50 MR32 CF13 PV5
1985年がファーストヴィンテージ。
現在のインポーター希望小売価格が46200円。
昔の価格を知っていると溜息が出ます。

グラッタマッコ CS MR SG
1982年ファーストヴィンテージ。
インポーター希望小売価格が15094円となんとか手を出せそうな価格ですので、機会があればまずはこれから味わってみてはいかがでしょうか。

〇サッシカイア、オルネッライアと血縁関係にあるアンティノーリのワイン

ティニャネッロ SG80 CS15 CF5
ティニャネッロは1971年に誕生します。
1970年ヴィンテージにはキャンティ・クラシコにティニャネッロの文字が入ります。
この当時、キャンティ・クラシコは白ブドウを含有していなければなりませんでしたが、ほんの少しだけカナイオーロを混ぜ、サンジョベーゼから作られたワインがティニャネッロでした。
ファーストヴィンテージ好きの私は、1971年を手に入れて飲みましたが、コルクが瘦せており、とても美味しいバルサミコになっていました。

ソライア CS75 CF5 SG20
1978年がファーストヴィンテージで、ティニャネッロ用のカベルネ・ソーヴィニヨン(80%)とカベルネ・フラン(20%)から作られました。
その後、ティニャネッロと逆のセパージュで造られるようになりました。
このファーストヴィンテージも30年くらい熟成したころに飲みましたが、ピークをかなりすぎていました。

グアド・アル・タッソ CS CF MR PV
1990年がファーストヴィンテージのアンティノーリがボルゲリで造るワインです。
当初は、ティニャネッロ、ソライアとの差別化をはかるためシラーがブレンドされていました。

〇モノセパージュの雄レ・マッキオーレ

3大ボルゲリのサッシカイアは1944年にカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランの苗木をボルゲリの地に植えたというのが始まりとされています。
グラタマッコが78年、オルネッライアが82年創業で、レ・マッキオーレは1984年創業で、ボルゲリの生産者の中では古株です。
ボルゲリの地を生かすにはモノセパージュがいいとの考えからワイン造りが始まっています。

パレオ・ロッソ CF100
1989年がファーストヴィンテージ。
当初は、カベルネ・ソーヴィニョン100パーセントで造ろうと考えていたらしいが、2000年までは、カベルネ・ソーヴィニヨン70パーセント、カベルネ・フラン30パーセントくらいの比率で生産されていました。そして、2001年ヴィンテージからカベルネ・フラン100パーセントになりました。
イタリアワインは、私の経験では熟成を楽しめるものにはなかなか出会えないのですが、20年くらい熟成させたパレオ・ロッソの1996年は素晴らしかったです。

メッソリオ MR100
1994年がファーストヴィンテージ。
2004年ヴィンテージがワイン・スペクターで満点を獲得しました。
リリース当初は、年産300本程度でしたので幻のワインでした。

スクリオ SY100
1994年がファーストヴィンテージ。
オーナーがシラー好きだったから生産されたワインと言われています。

〇メルロから作られる代表的なワイン

メルロは粘土質土壌が適しているため、ボルドー地方ではポムロール地区がその代表的産地です。
しかし、ボルゲリの生産者によるとポムロールなんてボルゲリと比べると砂地みたいなものだそうです。
私の経験から言うと、イタリアンメルロは素晴らしいものが多く、「イタリアンメルロ恐るべし」というのが正直な感想です。

マッセート MR100
オルネッライアが手掛けるワイン。
1986年がファーストヴィンテージですがその時の名前はオルネッライア・メルロでした。
2019年ヴィンテージからはカベルネ・フランもブレンドされているようです。

レディガッフィ MR100
1994年がファーストヴィンテージ。
生産者はトゥア・リータ。
レディガッフィは、ワインの評価本であるワイン・スペクターとワイン・アドヴォケイトの両方で満点を取った唯一のイタリアワインです。

ラッパリータ MR100
1985年がファーストヴィンテージ。
キャンティ・クラシコの名門、カスティロ・ディ・アマが造るワイン。
他の著名なメルロ100パーセントのワインがボルゲリで造られるのに対し、このワインはキャンティ・クラシコ地区で造られます。

その他で言うと、キャンティ地区で造られるサン・ジュースト・ア・レンテンナーノのファーストヴィンテージが93年のラ・リコルマ、ペトローロのファーストヴィンテージが94年のガラトーナ等がよく聞く名前で、場所が少し外れているせいか、他のメルロと比べ比較的リーズナブルな値段で取引されています。

パラッツィ MR100
新生テヌータ・ディ・トリノーロの造るワイン。
97年から99年まで、メルロ50パーセント、カベルネ・フラン50パーセントで造られていましたが、3年間で生産中止になり、その後2009年にメルロ100パーセントで復活しました。

〇サンジョベーゼ100パーセントのワイン

1870年ごろ、リカーゾーリ男爵がサンジョベーゼ70パーセント、カナイオーロ20パーセント、マルヴァジア10パーセントという後に黄金比率と呼ばれるキャンティのセパージュ比率を考案しました。
これは当時、醸造技術が発達していなかったため、サンジョベーゼの荒々しさをコントロールできず、その欠点を補うための方策で、このことがキャンティの基礎を築いたと言われています。
このことにより、長い間、キャンティには白ブドウの混醸が義務づけられていました。
醸造技術が進歩し、丁度スーパートスカーナのムーブメントが始まる頃に、サンジョベーゼ100パーセントからなるワインを造る生産者が出現してきました。

レ・ペルゴール・トルテ SG100
1977年がファーストヴィンテージ。
1984年にDOCGを脱退して、法が変わり現在はキャンティ・クラシコが名乗れるようになりましたが、いまだにIGTでリリースしています。
確かに、もう肩書を名乗る必要はありませんが。
毎年変わる女性のイラストでも有名です。

ペルカルロ SG100
ラ・リコルマを造るサン・ジュースト・ア・レンテンナーノが生産者。
1983年がファーストヴィンテージ。

イル・カルボナイオーネ SG100
生産者はポッジオ・スカレッティで、1992年がファーストヴインテージ。
当時、日本では銀座にあったエノテカ・ピンキオーリでしか飲めないと言われていて、わざわざ飲みに行った記憶があります。

チェッパレッロ SG100
生産者はイゾレ・エ・オレーナで、1980年がファーストヴィンテージ。

テスタマッタ SG100
90年代後半に登場してきた超新星のビービー・グラーツの造るワイン。
2000年がファーストヴィンテージ。

コローレ SG100
同じくビービー・グラーツの造るワイン。
当初は、コロリーノ40パーセント、カナイオーロ40パーセント、サンジョベーゼ20パーセントで造られ、地場品種のコロリーノを多く使用していたことで話題になりました。

〇その他の有名なスーパートスカーナ
カステッロ・ディ・ランポーラの造る、サンマルコ(CS MR SG)とヴィーニャ・ダルチェオ(CS PV)、クエルチャベッラの造る、カマルティーナ(SG75 CS25)、ロバート・モンダヴィとフレスコ・バルディのジョイントヴェンチャーのルーチェ(MR50 SG50)、アルジャーノのカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラー、サンジョベーゼを4分の1ずつ使用したソレンゴ、パラッツィを造るテヌータ・ディ・トリノーロのテヌータ・ディ・トリノーロ(CF50 MR36 CS10 PV4)等々、枚挙にいとまがありません。