【 ワイングラス 】
ワインを飲むときに今では一般的な脚の付いたガラス製のワイングラスが登場したのは15世紀に入ってからの事だそうです。
私が小さい頃は、ワイングラスといえばボヘミアグラスに代表されるカットの施されたグラスが主流だったように思います。
ボヘミアグラスとは、チェコのボヘミアで確立されたガラス製品のことを指し、16世紀にベネツィアグラスの製法が伝わって誕生したそうです。
現在は、レストランでも、家庭でもリーデル社のグラスが席捲していて、ワインラバーにとってはシンプルな大ぶりのグラスが当たり前になっています。
装飾の施されたグラスメーカー
〇モーゼル(チェコスロバキア)
ボヘミアグラスの最高峰といえば、1857年創業のモーゼルです。
1920年に世界で初めてレアアースを使ったにボヘミアガラスの特徴でもある色彩ガラスの製造に成功しました。
〇バカラ(フランス)
バカラの歴史は、1764年にルイ15世の認可を受けて創設されたフランス初の本格的ガラス工場に始まります。
1816年に本格的クリスタル製造を開始し、ルイ18世やロシア帝国のニコライ2世等が愛用しました。
残念ながら2017年に中国の投資会社に買収されています。
ワイングラスだけでなく様々なガラス製品を生産しており、日本で一番有名なメーカーです。
〇サン・ルイ(フランス)
1586年ロレーヌ地方のガラス工房が起源で、ヨーロッパ最古のクリスタルグラスブランドと言われています。
1767年にルイ15世から「サン・ルイ王立ガラス工房」の称号を授かり、現在に至ります。
〇ラリック(フランス)
ルネ・ラリックが1885年にジュエラーとしてのアトリエを開いたのがスタートです。
1912年以降、作品がガラス工芸へと移り始め、「フランスクリスタルの華」と呼ばれるようになりました。
〇ウォーターフォード(アイルランド)
1783年創業、1986年にウエッジウッド社と合併、2009年に経営破綻、2015年にフィンランドの会社に買収されています。
そんな歴史があるせいか、最近見かけませんね。
〇テレジアンタール(ドイツ)
1836年創業。その後、各国王室御用達となります。
個人的に大好きなブランドで若いころに色々な製品を買い集めていたのですが、今はマイセン傘下になってしまい、グラスの形は同じでもマークが違うため、破損したら買い足しができなくなってしまいました。
シンプルなグラスメーカー
〇リーデル(オーストリア)
1756年にチェコで創業。
第二次世界大戦時に、歴史に翻弄されますが、オーストリアに移り11代に渡り今でも家族経営を守っています。
リーデル社は1973年にボルドーワイン用に卵型のシンプルなグラスを開発し、ブドウの品種ごとに形を変えたソムリエシリーズを発表しました。
ハンドメイドのソムリエシリーズの廉価版のマシンメイドのヴィノムシリーズを1986年に発表し、今やワイングラスの定番となりました。
〇ロブマイヤー(オーストリア)
1823年ウィーンに創業。創業後すぐにハプスブルグ家の御用達になりました。
バレリーナシリーズは、ワインラバー垂涎の逸品です。
〇ザルト(オーストリア)
ザルトの創業者は、元々ベネツィアでグラス生産を営んでいましたが、その子孫が14世紀にオーストリアの地に移住して現在に至ります。
全てのグラスがハンドメイドで、ロブマイヤーより価格設定が控えめなので、ヨーロッパのレストランではリーデルより採用率が高いメーカーです。
日本ではあまり普及していませんが、私のお勧めのメーカーです。
〇ツヴィーゼル(ドイツ)
1872年創業。
ハンドメイドのグラスも作っていますが、食洗器でも洗える強度の高いグラスで有名です。