【 ボルドーワイン 】
今回はトリヴィアではなく、初歩的なお話です。
世界におけるワインの2大産地と言えば、ボルドー地方とブルゴーニュ地方で異論はないと思います。
ブルゴーニュ地方は、赤、白共に偉大な産地ですが、ボルドーは甘口の白ワインでは有名ですが、なんといっても赤ワインの産地です。
ブルゴーニュがピノ・ノワール1種で造るのに対して、ボルドーはカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロなどをブレンドして造ります。
ワインを少し詳しくなろうと思うのであれば、ボルドーから始めるのが一番簡単でしょう。格付けがしっかりされていますし、ヴィンテージの良し悪しを言及する時、大抵はボルドーのヴィンテージが使われます。
それに加えアメリカのワイン評論家ロバート・パーカー氏の点数によりワインの値段が決まってくるという現状もあるので、他地域のワインと比較して単純でわかりやすいのがボルドーワインです。
ボルドー地方には高品質なワインを産出する地区として、左岸といわれるメドック地区とグラーブ地区、新興勢力である右岸のサンテミリオン地区とポムロール地区があります。
土壌の違いから、左岸ではカベルネ・ソーヴィニヨンが主力品種、右岸はメルロが中心に栽培されています。
特にメドック地区は古くから有名な産地で、1855年のパリ万博の時に優れたワインに1級から5級までの格付けがされました。
その格付けはほとんど変更されことなく、現在61のシャトーが選ばれています。
当時、1級に輝いたのが4つのシャトー。
格付け順位通りにあげるとラフィット・ロートシルト、マルゴー、ラトゥール、そしてグラーブ地区でありながら高品質なためにメドック以外の地区から唯一選出されたオー・ブリオンでした。
現在は、当時2級の筆頭だったムートン・ロートシルトが異例中の異例で格付けが1級に昇格され(1973年ヴィンテージから)5大シャトーと言われています。
私がワインに興味を持ち始めた時は、「ラフィットがフランスのロートシルト家でムートンがイギリスのロートシルト家だったためにムートンは2級にされた」と、まことしやかに言われていたものですが、情報が正確になってくると、ただ単に当時の取引価格で格付けしただけと言うことが事実のようです。
当時1級に格付けされた4シャトーと比べ、ムートンは70%程度の価格で取引されていたようで、2級に格付けされているレオヴィル・ラス・カーズやピション・バロンの取引価格に近かったようです。
近年では、サンテミリオン地区のオーゾンヌ、シュヴァル・ブラン、ポムロール地区のペトリュスを加えて8大シャトーと呼ばれたりします。
左岸と比べ右岸のワインは生産量が少ないため、現在は右岸の3シャトーの方が高額で取引されています。
最後に、世紀のヴィンテージ(世紀と言う割には随分とありますが)と呼ばれている年を挙げますと、1899年、1900年、1929年、1945年、1961年、1982年、1990年、2000年、2005年、2009年、2010年とかでしょうか。