ワインのコンシェルジュ

ライブラリー

ワインのトリヴィアル・パスートVol.32【 ブドウの品種 No.3 】

【 ブドウの品種 No.3 】

今回は、フランス以外の国のメジャーな黒ブドウです。

◆イタリアの赤ワイン用ブドウ品種◆

サンジョベーゼ 
イタリアで最も栽培されている赤ワイン用のブドウがサンジョベーゼです。
サンジョベーゼから造られるワインでは、トスカーナ地方のキャンティやキャンティ・クラシコが有名です。
サンジョベーゼは、突然変異を起こしやすいブドウと言われ、房や粒が大きく凝縮した果実味のあるサンジョベーゼ・グロッソ、またの呼び名をブルネッロと呼ばれるブドウを100パーセント使用して造られるブルネッロ・ディ・モンタルチーノがトスカーナ州のもう一つの雄です。
サンジョベーゼは酸が特徴なので、トマトソースを使用したパスタや料理と相性が良いと言われています。

ネッビオーロ
イタリアの高級ワインの代名詞であるピエモンテ州のバローロ、バルバレスコに使われるのがネッビオーロです。
ネッビオーロは厳しいタンニンがあるためバローロでは独自の伝統的製法で造られていましたが、醸造技術の発達とともに新しい製法で造られるバローロボーイズが登場し、新旧バローロの対立も記憶に新しいところです。
ネッビオーロは大変気難しく限られた地域でしか栽培されていませんが、熟成すると素晴らしいワインになるポテンシャルを持っています。
私の経験では、ジャコモ・コンテルノのバローロで何度か素晴らしい物に出会いました。

バルベーラ ドルチェット
ネッビオーロ同様にピエモンテ州を代表する黒ブドウに、バルベーラとドルチェットがあります。ネッビオーロより2週間収穫が早いのがバルベーラ、そしてさらに2週間早いのがドルチェットです。
普段飲むのはドルチェット、週末飲むのはバルベーラ、特別な時に飲むのがネッビオーロと言われています。
バルベーラは酸が強くタンニンが少ないのが特徴で合わせる料理の許容範囲は広く、ドルチェットは多少タンニンがありますが酸が少なくフルーティーな味わいなのでパスタやピッツアと相性が良いと言われています。

アリアニコ モンテプルチアーノ ネロ・ダーヴォラ プリミティーヴォ
イタリアは、土着品種の宝庫でその数は2000を超えるとも言われています。
黒ブドウでその代表をいくつか選ぶとすると、アリアニコ、モンテプルチアーノ、ネロ・ダーヴォラ、プリミティーヴォ等が挙げられます。
アリアニコはイタリア南部で栽培され、カンパーニャ州のタウラージやアリアニコ・デル・タブルノ、バジリカータ州のアリアニコ・デル・ヴルトゥレが有名です。
タンニンが強く、酸も豊富なため長期熟成が可能で、サンジョベーゼやネッビオーロに並びイタリアにおける高貴な品種のひとつと言われています。
ラム肉との相性が良いとされています。
モンテプルチアーノはイタリアではサンジョベーゼに次いで栽培されている黒ブドウです。
イタリア中央のアドリア海側が産地で、軽く安価な物から重厚な物まで幅広いレンジのワインが造られています。
有名なのは、アブルッツオ州で造られるモンテプルチアーノ・アブルッツオで、特にエドアルド・ヴァレンティーニの物は、なかなか手に入れづらく高額で取引されているマニア垂涎の逸品です。
カラブレーゼとも呼ばれるネロ・ダーヴォラはシチリアを代表する黒ぶどうですが、世界的に有名になったのは今世紀に入ってからの事です。
その立役者が第15回に頒布したグルフィで、今ではイタリアワインの定番の一つになりました。
プリミティーヴォは、アメリカではジンファンデルと呼ばれているブドウです。プーリア州が主産地で甘さを感じる濃厚な果実味が特徴です。

◆スペインの赤ワイン用ブドウ品種◆

テンプラニーリョ
スペインを代表する黒ブドウと言えばテンプラニーリョで栽培量も他の黒ブドウを大きく引き離しています。
また、シノニム(別名)も多く、テンプラニーリョは原産であるリオハ、ナバーラ地方の呼び方で、高級ワインの産地リベラ・デ・ドゥエロではティント・フィノやティンタ・デル・パイス、リベラ・デル・ドゥエロの南西に位置し最近注目を集めているトロではティンタ・デ・トロと呼ばれています。
テンプラニーリョから造られるワインは、低価格帯から高価格帯まで幅広く、リベラ・デ・ドゥエロのウニコやピングスのような5大シャトー並みの価格の物もあれば、1000円以下で購入できるワインもあります。
低価格帯のワインを買うのであれば、私はチリワインよりスペインのテンプラニーリョの方がはずれが少ないのでお勧めします。

モナストレル メンシア
フランスではムールヴェードルと呼ばれといるモナストレルは、スペインが起源と言われフミーリャを代表する黒ブドウです。
かつては、ブレンド用のブドウでしたが、今はモダンな造りのワインが生産されています。
メンシアは、サンディアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の要所として有名なビエルソの主要ブドウで、テンプラニーリョと比べタンニンや酸が少ないのでエレガントな食事に合うワインとして現在スペインで最も注目されているブドウです。

◆アメリカの赤ワイン用ブドウ品種◆

ジンファンデル
イタリアでプリミティーヴォと呼ばれているジンファンデルは、アメリカを代表するブドウ品種で、アメリカのワイン産業の盛衰を鏡のように映し出してきたと言われています。 1880年にはすでに確固たる地位を確立しゴールドラッシュの炭鉱夫等の日常酒として人気を博していたかと思えば、1970年代にはまずい安いワインの代名詞として扱われたりしていました。 90年代に入ると、高品質なジンファンデルが造られるようになり、ターリーのようなカルトワインも登場し、今やカリフォルニアを代表するワインとして世界から注目されています。 ジンファンデルは、フルーツのコンポートやドライフルーツのような甘さが特徴で、ブラインドで当てやすい品種の一つです。

◆南アフリカの赤ワイン用ブドウ品種◆

ピノタージュ
ピノタージュは高貴な品種の代名詞であるピノ・ノワールと南フランスの丈夫で多産な品種であるサンソーを掛け合わせた(南アフリカではサンソーのことをなぜかエルミタージュと呼んでいました。ローヌ北部を代表するワインの一つがエルミタージュですが、ローヌ北部ではサンソーは栽培されていません。ピノ・ノワールとエルミタージュの掛け合わせなのでべたにピノタージュと名付けられました。)南アフリカ独自のブドウ品種です。
ピノタージュは、コーヒーの香りが出やすいことから、最近その香りにフォーカスあてたワインが多く生産されています。(第28回頒布)