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ワインのトリヴィアル・パスートVol.16【 ワインの歴史 】

【 ワインの歴史 】

ワインの発祥の地や時期は定かではありません。
ワインと同じ醸造酒である日本酒は、原料の米に糖分が含まれていないためデンプンを糖化させる必要がありますが、ワインは糖分があるため人間の手を介さずワインができてしまうからです。
ですから、人類はワインを発明したわけではなく発見したと言えます。
記録としては世界最古の文学とされる古代メソポタミアのギルガメッシュ叙事詩に残されています。
ギルガメッシュ叙事詩は、19世紀にアッシリアの遺跡から発掘されたもので、紀元前2600年頃?に実存したとされるギルガメッシュという王様の物語ですが、この物語の中に旧約聖書にあるノアの方舟の話の原型があることが分かりキリスト教世界に衝撃を与えたと言われています。
ワインは、大洪水に備え舟を建造した時に船大工たちに振る舞われたとして登場します。
ワイン造りは、人類最古の文明と考えられるメソポタミアの地から地中海を東から西へと伝わっていき、ローマ帝国の拡大と共に西欧各地に広まっていきました。
現在のフランスの主要産地である、ローヌ、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザス、ロワールには、あのジュリアス・シーザーによって伝播されました。
中世に入りキリスト教が大きな存在になるとワインはローマ教会と密接な関係を持つようになり、そしてルネサンス期にはこの世の贅と快適さの象徴となっていきました。
大航海時代に入ると、ワイン造りはヨーロッパ以外の地域に広まっていき、16世紀にはスペインがアメリカに、17世紀にはオランダが南アフリカに、18世紀にはイギリスがオーストラリアに伝え、現在では世界中でワインが造られるようになりました。
現在のワインの国別生産量は年によって違うのですが、1位をフランスとイタリアが競い、それにスペインとアメリカが続くという構図になっています。
O.I.V.というフランスの政府機関のデータによると2015年(予想)の5位以下の国は、アルゼンチン、チリ、オーストラリア、南アフリカ、中国、ドイツの順になっています。
現在は日本ではほとんど流通していませんが、中国が近年生産をのばしているので、そのうち低価格帯の定番になる日が来るかもしれません。
また、国民一人あたりの消費量はこれも年によって違うのですがルクセンブルグ、フランス、ポルトガル、イタリア、スイスがベスト5となります。
1位のルクセンブルグですが、税率が低いため隣国からも買いに来る人が多いらしく、実際ルクセンブルグの国民が一番消費しているとは限らないようです。
日本での消費量はまだ年間で一人あたり平均約3.5本程度ですので、上位の国々の20分の1程度しか飲まれてないことになります。
この10年間で年間平均消費量は1本程度増加しましたが、日本でももう少し飲まれるようになればと、私は切に願います。