(フランス ボルドー地方 メルロ100%)
1990年代以降、ワインの栽培技術や醸造技術の格段の進歩により、産地、品種、ヴィンテージの特徴がどんどんと薄められ、造り手の特徴がよく出るようになってきています。
ボルドーワインでは、グッドヴィンテージのワインが上手く熟成すると黒コショウの香りがし、オフヴィンテージのワインの特徴としてピーマン香がすると言われていました。
そして、究極の熟成香がトリュフの香りでした。
ピーマン香はカベルネ系のブドウが未熟なことにより生じるので、冷涼な気候だったロワール川流域のカベルネ・フランから造られるシノンやブルグイユは強いピーマン香がし、以前はなかなか美味しい赤に出会えませんでした。
ボルドーのワインで黒コショウの香りにまで昇華したワインに出会えることは少なく、コート・デュ・ローヌのシラーから造られるワインの特徴でもあることから、黒コショウの香りはシラーで体験することが多かったと思います。
シラーは、カサブランカの香りも特徴的なので、両方の香りがすると南仏のシラーかなって思ったりしたものでした。
ピノ・ノワールが熟成した究極は、バラのポプリの香りと言われ、こちらはさらに体験することは難しいです。
しかし、イタリアのマルケ州の地場品種のラクリマ・ディ・モッロ・ダルバ(第2回頒布)の特徴的香りなので、初めてこのワインを飲んだ時に大変感激をした記憶があります。
このメルロはこの価格帯なのに、はっきりと黒コショウの香りがするので思わず選んでしまいました。