(イタリア マルケ州 ラクリマ100%)
ワインは香りを重視する飲料です。
白ワインの熟成香の特徴として、シェリーの香りとカフェオレの香りというのがあります。
田崎真也氏の著書によると、モンラッシェよりはコルトン・シャルルマーニュ、ピュリニー・モンラッシェよりはシャサーニュ・モンラッシェの方がカフェオレの香りが出やすいと書いてありますが、私がはっきりとカフェオレを感じたのは残念ながら2回しかなく、2回ともこのような値段になる前のDRCのモンラッシェだったので、次回はいつ出会えることやらという感じです。
良い赤ワインの香りの代表はトリュフ香です。
トリュフ香はボルドーやブルゴーニュの赤がうまく熟成すると、出てくる可能性があるはずなのですが出会うことは稀です。
私の中で、一番はっきりとトリュフ香を感じたのは、シャトー・レグリーズ・クリネの1982年でした。
良年のカベルネ・ソーヴィニヨンにある黒コショウの香りは、南仏のシラーでよく出会えますし、コート・デュ・ローヌのシラーとグルナッシュから造られたワインはカサブランカの香りが典型的なので、これらの香りは嗅ごうと思えばすぐに嗅げますが、なかなか出会えないレアの香りの代表がバラの香りでした。
ブルゴーニュの赤が上手く熟成するとバラの香りが出て来るとのことですが、一度も出会えたことがありませんでした。
そんな時に、出会ったのがラクリマという品種でした。
ワインでいうバラの香りと言われているのは、生花ではなくポプリの香りだったことがわかったのと同時に、貴重なバラの香りがいつでも嗅げるようになりました。
第2回に頒布したジュスティ・ピエルジョヴァンニは、絶滅に危機にあったラクリマを復活させた立役者と言われていますが、彼と双璧をなす生産者と言われているのが今回の
マロッティ・カンピです。
私が出会った頃は、香りは素晴らしいが味はそこそこというイメージでしたが、今や味も素晴らしく、進化している感じがします。