(チリ カベルネ・ソーヴィニヨン主体 メルロ)
チリのブドウ栽培は、16世紀半ばにスペインのカトリック伝道者が聖餐用のワインとしてパイス種を植えたことに始まります(第37回頒布)。
1818年にスペインから独立したチリは、鉱山資源をもとに経済成長を遂げ、鉱山富豪がワインのスポンサーになり、チリワインの新しい時代の幕開けとなります。
1851年にフランスから大量にブドウの苗木を輸入しますが、そのすべてがボルドー品種でした。
フランスでは、1600年代から1700年代にかけて、ブルゴーニュワインが宮廷ワインで、ボルドーワインは田舎ワインでしたが、19世紀には世界的にはボルドーの方が名を馳せ、ブルゴーニュが田舎ワインだったからです。
輸入されたブドウは、赤のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、マルベック、カルメネール、白のソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルで、ピノ・ノワールとシャルドネは輸入されませんでした。
現在、チリワインを代表する品種と言えば、ボルドーでは絶滅したと思われていたカルメネールだと私は思います。
栽培面積でいうと、ボルドー品種が6割強で、カベルネ・ソーヴィニヨンが3割を超えます。
カルメネールも8パーセント強の栽培面積があるので、世界でほとんど栽培されていないことを考えたら、やはりチリを代表する品種と言ってよいでしょう。
ワイン天国と呼ばれるチリのこのカベルネ・ソーヴィニヨンは、ワインってこれで十分だよな、って思ってしまう1品です。